顎が痛い・開かない
顎関節症(顎や肩の周りの筋肉が疲れたり痛くなる、口が開きづらくなる病気)
下顎を動かす筋肉に痛みが出たり、凝ったりなどといった症状が出ることがあります。筋肉が過緊張(緊張しすぎる)ことによって、かみ合わせ全体へ悪影響がでたり、口が開きづらくなったり、噛んだ時に痛みがでたり、歯がダメージを受けたり、顎の関節の骨が変形してしまったり様々な症状につながります。
無意識のストレスや肉体的・精神的なストレスも顎関節症の大きな要因です。
「歯ぎしり」ときくと、ギリギリ・ゴリゴリと音がするものをご想像される方が多いのですが、歯ぎしりには音がしなくてギューっと噛みしめているものもあります。歯ぎしりは主に3種類あり、タッピング(カチカチ噛む)・クレンチング(ギューっと噛む)・グラインディング(ギリギリ・ゴリゴリと歯軋りする)がすべて歯ぎしりと呼べます。
保険診療では、主に対症療法としてスプリント(夜間に装着するマウスピース)の作成や筋肉のマッサージ指導などができます。歯がないなどの問題がある場合にはかみ合わせを作る治療を行います。自由診療では、筋肉の緊張を緩和させる目的の栄養カウンセリングや点滴・注射療法、サプリメントなどの方法があります。
顎関節の脱臼(だっきゅう)、顎が外れた
顎関節は、膝や肘などの関節とは異なっており、同じ位置で回転するだけではなく、滑走(かっそう)といって、前後方向に動きます。滑走運動ができるおかげで大きくお口を開いたり閉じたりすることができます。顎関節の脱臼とは、「顎が外れた」状態であり、顎関節が極度に滑走運動をしすぎて、もとの位置に戻せなくなってしまった状態です。徒手整復(としゅせいふく)といって、歯科医師の手で顎関節の位置を元に戻すことで解消します。脱臼の癖がついてしまっていたり、顎が外れてしばらく日数が経過してしまったような陳旧例については整復が難しくなることがありますのでお早めにご相談ください。
TCH (Tooth Contacting Habit) 日中の噛みしめ症候群とは?
近年、TCH(Tooth Contacting Habit)といって、日中に上下の歯を噛みしめてしまう癖を持っている方が増えています。
通常、下顎が安静な状態では、上下の歯は接触していないのですが、TCHの方は上下の歯を常に接触させてしまうため、顎を動かす筋肉が過度に緊張してしまいます。
その結果、偏頭痛・肩こり・集中力の低下などの問題を引き起こしてしまいます。
噛む力が強すぎる場合には以下の方法があります。
筋電図測定
筋肉が収縮する時の筋肉の信号の伝わり方を記録する検査です。
歯科における筋電図測定は、噛む時に使われる咬筋(エラの筋肉)の筋力を測定します。
測定の仕方
皮膚の上から両側の咬筋(エラの部分)に専用のパッチを貼ります。
5秒噛みしめて、5秒休むを2セット繰り返します。
※痛みはありません。
費用
3割負担の保険適用で、1,500円(税込)
自由診療の場合は、4,000円(税抜)です。
筋電図測定のご紹介動画
筋電図で咬筋を調べることにより、矯正治療の他に検討できる対処方法も分かってきます。
そのうちの1つがボツリヌス治療です。
ボツリヌス治療(ボトックス注射)
ボツリヌス菌から作り出される天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)が筋肉の緊張を緩和してくれます。
そのボツリヌストキシンを咬筋へ注入することで、噛み締めや歯ぎしりなど改善できます。
顎関節のCT(保険適応)
顎関節の骨の変形や位置関係をみるためのものです。院内で撮影可能です。
顎関節のMRI(保険適応)※メディカルスキャニングへ依頼
顎関節の関節円板の転位の有無、現在の炎症の状態などを評価できます。
慢性低血糖
咬筋の筋力が弱いのに噛みしめや歯ぎしりの癖がある方へ
もしかしたら、慢性低血糖やミネラル不足が原因かもしれません。
幼少期や学童期から朝食を抜く習慣があったり、食生活でミネラル不足や栄養バランスの乱れがあると、慢性的に低血糖の状態になることがあります。
慢性低血糖とは?
低血糖とは、血液中のブドウ糖(糖)が不足している状態を指します。慢性低血糖は、長期間にわたって血糖値が低い状態が続くことを意味します。
ミネラル不足とその影響
鉄分やマグネシウムなどのミネラルが不足すると、慢性低血糖と密接な関係があることがわかっています。特に鉄分不足は、氷や硬いものを噛みたくなる「氷食症」という症状と関連しています。
歯ぎしりや噛みしめの原因
歯ぎしりや噛みしめは、ストレスを発散するために行うことが多いですが、日中や夜間に低血糖状態になることでストレスを感じ、これが歯ぎしりを誘発する場合があります。
食生活の影響
慢性低血糖に陥ると、体は即効性のあるエネルギーを必要とするため、甘いものを食べたくなる傾向があります。その結果、たんぱく質の摂取が不足しやすくなり、筋力がつきにくくなることがあります。このため、筋電図測定(筋肉の電気活動を測定するテスト)を行っても、強い値が出ないことがあります。
慢性低血糖を調べる方法
慢性低血糖を調べるためには、主に血液検査を行います。以下の方法で詳しく診査いたします。
- 血液検査
・血糖値の測定: 血液中のブドウ糖(糖)の量を測定します。
・その他の検査: 糖質、脂質、たんぱく質の代謝に関わる酵素の状態もチェックします。これにより、体内のエネルギー代謝のバランスを総合的に判断します。
- 持続血糖測定(CGM)
フリースタイルリブレなどのデバイスを使用すると、14日間の血糖値の推移を継続的に測定できます。これにより、日常生活における血糖値の変動を詳細に把握することができます。