
「老化」というと高齢になってからの話だと思われがちですが、実は脳の健康状態は20代でピークを迎え、30代からすでに緩やかな低下が始まっているというデータがあります。今回は、あまり知られていない「お口の健康」と「脳の老化」の関係について解説します。
脳の健康は30代から下り坂に入っている
日本抗加齢医学会で示された、先日の大阪万博から得られた大規模データによると、記憶力や注意力といった脳の健康指標は20〜30代でピークに達し、その後は直線的に低下していく傾向があることが分かっています。体重や筋肉量のピークが40〜50代であるのに比べると、脳の老化はかなり早い段階から始まっているといえます。
歯周病菌が脳に届く仕組み
近年の研究で、歯周病の原因菌であるP. gingivalis(ジンジバリス菌)やその毒素が、歯ぐきの炎症部分から血流に乗って全身に運ばれ、脳にまで到達することが分かってきました。脳内に到達した歯周病菌は、アルツハイマー病の原因物質とされる「アミロイドβ」の蓄積を促進する可能性が指摘されています。
また、むし歯の原因菌についても、唾液とともに飲み込まれて腸に運ばれ、腸内で作られた物質が脳の機能低下やパーキンソン病のリスクに関与する可能性が報告されています。「お口のケア」は歯を守るだけでなく、脳の老化対策としての側面も持っているのです。
「噛むこと」が脳への刺激になる
古くから「よく噛むことは脳への刺激になる」といわれていますが、この考え方は現在の研究でも支持されています。かみ合わせが正しく機能している状態を若いうちから維持すること、必要に応じて矯正治療を行うことは、見た目や歯並びだけでなく、全身の健康を守るという観点でも意味があります。
まとめ――お口のケアは脳の健康対策でもある
こうした知見はまだ研究段階のものも含まれますが、歯周病を放置せず早めにケアすることは、お口の健康だけでなく将来的な脳の健康を守ることにもつながると考えられます。歯ぐきの腫れや出血など、気になる症状がある方は、症状が進む前に一度歯科でのチェックをおすすめします。
当院では、歯ぐきの状態のチェックに加え、咬む力や全身の老化リスクまで見据えたカウンセリングを行っています。気になる症状や不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
監修:手塚充樹(ヘルシーライフデンタルクリニック 院長・歯科医師/博士(歯学))












