
お口の中は、栄養状態や免疫の異変にいち早く気づける場所でもあります。今回は、歯科の診察をきっかけに気づくことがある「舌のサイン」と、唾液を使った新しい検査についてご紹介します。
「ハンター舌炎」というサイン
「悪性貧血」という病気をご存じでしょうか。単にビタミンB12が不足しているだけでなく、胃から分泌される「内因子」というタンパク質を自己抗体が攻撃してしまい、ビタミンB12が腸でうまく吸収できなくなる自己免疫疾患です。治療には注射によるビタミンB12の補充が必要になります。
この悪性貧血は、初期の段階でお口の中に特徴的な変化として現れることがあります。それが「ハンター舌炎」と呼ばれる、舌の表面がつるつるとして赤くなる炎症です。舌のヒリヒリとした違和感や、味覚の変化を訴えて来院された患者さまの舌を診た際に、この所見をきっかけとして内科的な精査につながることがあります。歯科の診察が、全身の栄養状態の異変に気づく入口になることは、決して珍しいことではありません。
唾液でわかる「抗酸化力」
もう一つ、近年登場している検査として、唾液からわずか数分で体の抗酸化力を測定するものがあります。これは、炎症性の老化(インフラメイジング)に対して体がどれだけの「予備力」を持っているかを見る指標です。注射も採血も必要なく、体への負担が少ないことが特徴です。
検査は「厳選」が大切
こうした新しい検査は選択肢を広げてくれる一方で、むやみに項目を増やしてしまうと、患者さまにとって時間的にも費用的にも負担が大きくなってしまいます。本当に必要な検査を見極め、厳選してご提案することが、これからの歯科医院には求められると考えています。
お口のサインを見逃さないために
舌や歯ぐきに現れる小さな変化は、体からのメッセージであることがあります。味覚の変化、舌のヒリヒリ感、治りにくい口内炎など、気になる症状がある場合は、我慢せずに一度ご相談ください。
当院では、お口のチェックに加え、唾液検査や血液検査を通じて、栄養状態や全身の老化リスクまで一緒に読み解くカウンセリングを行っています。気になる症状や不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
監修:手塚充樹(ヘルシーライフデンタルクリニック 院長・歯科医師/博士(歯学))












