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「歯が残っている」ことと「安全である」ことは、実は別の話です
「歯が何本残っているか」を、お口の健康のものさしにしている方は少なくありません。しかし、残存歯の本数と、お口の中が本当に安全な状態であるかどうかは、必ずしもイコールではありません。歯が残っていても、歯周病菌をはじめとする口腔内細菌が、気づかないうちに全身へ影響を及ぼしていることがあるからです。実は、歯周病の病態が進行している歯を抜歯すると口腔内の細菌数はかなり減ります。ご高齢になられて要介護状態になられたときなどに、少しでも多くの歯を口腔内に残しておいた方がよさそうな気もしますが、ケースバイケースで考慮していくべき場面もあるのは事実です。
大切なのは本数だけでなく、歯ぐきの状態や細菌のバランスなど、口腔内環境全体を見ることです。当院では、目に見えない炎症を可視化する「高感度CRP検査」を通じて、患者様お一人おひとりに合わせた予防的なアプローチをご提案しています。
誤嚥性肺炎と口腔ケアの関係
「誤嚥性肺炎」という言葉を、ニュースや健診の場で耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。とくに高齢の方を中心に、口腔ケアの状態と誤嚥性肺炎の発症リスクとの関連を示す研究報告がなされています。就寝中に唾液や細菌を含んだ分泌物を少量誤嚥し、起床後に発熱するケースがあると言われており、日中の「むせ」だけが誤嚥のサインとは限りません。
口の中の細菌数を減らし、清潔な状態を保つことは、こうしたリスクに備える基本的な取り組みのひとつと考えられています。ご本人やご家族の毎日のケアに加えて、歯科医院での専門的な口腔ケアを定期的に取り入れることも、選択肢のひとつです。
見えない炎症を可視化する「高感度CRP検査」とは
CRP(C反応性タンパク)は、体のどこかに炎症が起きているときに数値が上昇する、よく知られた血液検査項目です。「高感度CRP検査(hs-CRP)」は、通常のCRP検査よりも低いレベルの炎症を検出できるよう精度を高めた検査で、自覚症状がない段階の、ごくわずかな全身の炎症状態を数値として把握する手がかりになります。
「特に体調の変化は感じていない」という方でも、口腔内の慢性的な炎症が、静かに全身に影響を及ぼしている可能性はゼロではありません。数値として炎症の傾向を知ることは、ご自身の体の状態を客観的に把握する材料のひとつになります。
歯周病・口腔内の炎症と全身の健康 ― 静かに進むリスク
歯周病は「歯を失う病気」というイメージを持たれがちですが、近年では歯周病菌やその毒素、炎症性物質が血流に乗って全身へ運ばれ、体のさまざまな部位に影響を及ぼす可能性があることが報告されています。実際に、歯周病がある方では血液検査のCRP値が高めに出やすい傾向を示す報告もあり、口腔内の慢性炎症と全身の炎症マーカーとの関連が指摘されています。
こうした背景から、当院では歯だけでなく、歯ぐきの状態や口腔内細菌のバランスといった「見えにくい炎症」にも目を向け、全身の健康と口腔をつなげて考えるホリスティックな視点でのケアを大切にしています。
当院でできる予防的アプローチ
気になる症状がまだなくても、今のご自身の口腔内環境を知ることが、予防の第一歩になります。当院では、高感度CRP検査による経過観察に加え、口腔内環境を整える生活習慣のサポートとして、次亜塩素酸系のオーラルケア水などをご案内することもあります(これは効果が確立された治療法ではなく、研究段階の選択肢のひとつとしてのご紹介です)。
定期的な検査とメインテナンスを通じて、口腔内の状態と全身の炎症傾向を一緒に見守っていくことができます。ご自身のペースで、無理なく続けられる予防習慣を一緒に考えていきましょう。
まとめ ― まずは今の状態を知ることから
口の中の状態は、全身の健康と静かにつながっています。「歯が残っているから大丈夫」と思い込まず、気になる症状がなくても、一度検査でご自身の今の状態を知ることから始めてみませんか。誤嚥性肺炎や全身の炎症が気になる方、高感度CRP検査にご興味のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
監修:手塚充樹(ヘルシーライフデンタルクリニック 院長・歯科医師/博士(歯学))












