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「歯のクリーニングをした日に、そのままホワイトニングもできませんか」
診療室でときどきいただくご質問です。
実はこのご質問には、いくつか整理しておきたい点が含まれています。保険で行っている処置は、美容目的の「お掃除」ではなく歯周病の治療だからです。まずはそこからご説明します。
「クリーニング」と呼んでいるものは、歯周病の治療です
患者さんが「クリーニング」とおっしゃるとき、その多くは保険で行う歯石除去やPMTC(機械的歯面清掃)を指しています。
これらは見た目をきれいにするための処置ではありません。歯の表面や歯周ポケットの中に付着したバイオフィルム(細菌が集まってできた膜)を取り除き、歯周組織の炎症を抑えることが目的です。歯周病の検査を行い、その治療の一環として実施するからこそ、保険が適用されます。
結果として歯の表面の着色も落ちますので、「きれいになった」と感じていただけるのですが、目的はあくまで歯周病の管理にあります。
では、同じ日にホワイトニングもできるのか
ホワイトニングは歯を白くするための処置ですので、保険は適用されません。自由診療です。
そのため、チェアに座っていただいて行うオフィスホワイトニングをご希望の場合は、日を分けてお越しいただくか、歯石除去も含めて自費でお受けいただく形になります。実際にご説明すると、多くの方が保険での歯周治療をお選びになります。歯周病の治療は、それだけ大切なものだからです。
一方、ホームホワイトニング材のお渡しであれば、同じ日にご案内できます。ホワイトニング材をお渡しして患者さんご自身に使っていただく、セルフケアという位置づけになるためです。
当院ではこの点に着目して、歯周治療を終えたその場でホワイトニングを始めていただける方法を取り入れました。1回のご来院で、歯周病の治療と、白くするところまで進めていただけます。
バイオフィルムを取り除いた直後が、いちばん効きやすい
ここが今回いちばんお伝えしたいところです。
歯の表面にバイオフィルムや歯石、着色が付いていると、ホワイトニングのお薬が歯そのものに届きません。せっかくお薬を使っても、汚れに邪魔されて効果にムラが出てしまいます。
歯石除去やPMTCでバイオフィルムを取り除いた直後の歯は、お薬がまっすぐエナメル質に届く、最も条件の良い状態です。しかも歯の表面は、唾液に由来する薄い膜(ペリクル)に数時間で再び覆われていきます。
つまり、歯周治療を終えたその場が、最も効率よくホワイトニングを始められるタイミングということになります。別の日にホワイトニングを行う場合、この利点は失われてしまいます。
効果は、セルフホワイトニングとオフィスホワイトニングの中間です
ホワイトニングと呼ばれるものにはいくつか種類があり、期待できる効果もそれぞれ異なります。
| 方法 | 使えるお薬 | 効果の目安 |
|---|---|---|
| セルフホワイトニングサロン | 過酸化水素・過酸化尿素は使用できません | 表面の着色を落とす |
| ホームホワイトニング(当院) | 過酸化水素6% | ゆっくり白くしていく |
| オフィスホワイトニング | 高濃度の過酸化水素 | 短期間で変化を出す |
医療機関ではない、いわゆるセルフホワイトニングのお店では、法律上、歯を漂白する成分を使うことができません。表面に付いた着色を落とすことはできますが、歯そのものの色を明るくすることは難しいとされています。「元の歯の色に戻す」という説明がなされるのは、そのためです。
一方、オフィスホワイトニングは高濃度のお薬を使いますので、短い期間ではっきりとした変化が期待できます。ただし費用は1回あたり数万円になることが多く、通院の負担もあります。
当院で取り入れているホームホワイトニングは、ちょうどこの中間にあたります。歯科医院でしか扱えないお薬をきちんと使いながら、費用と通院の負担は抑えられるという位置づけです。急激に白くなるわけではありませんが、続けていただくことで少しずつ変化していきます。
「1枚ホワイトニング」という方法です
当院でご案内しているのは、シートを歯に貼って90分置いていただく方法です。型取りもマウスピースも必要ありません。貼り方はスタッフがお手伝いしますので、はじめての方でもご心配はいりません。
特徴は、1枚単位でお求めいただけることです。
- 院内で(ソファー席で90分お過ごしいただく場合)3,300円(税込)
- お持ち帰り(ご自宅で90分過ごしていただく場合)3,000円(税込)
まとめてご購入いただく必要はありません。定期的なメインテナンスでお越しいただくたびに1枚ずつ、無理のない範囲で続けていただけます。
正直に申し上げますと、1枚では大きな変化は感じにくいと思います。5枚目あたりから「白くなってきた」とおっしゃる方が多い、というのが実感です。ゆっくり変えていく方法だとお考えください。毎日続ける必要はなく、間隔が空いても差し支えありません。
初回にお口の中の写真をお撮りしています。ご自身では日々の変化に気づきにくいものですが、半年後、1年後に並べて見比べると、違いがはっきり分かります。
白くしたいという気持ちが、通い続けるきっかけになる
歯科医師として、この方法にはもうひとつ期待していることがあります。
歯周病は自覚症状が出にくく、痛くならないと歯科医院に行かないという方が少なくありません。ところが歯周病は、お口の中だけの問題ではないことが分かってきています。
日本歯周病学会の資料などでも、歯周病と糖尿病の相互の関連が整理されています。歯周治療を行うことで血糖コントロールの指標が改善したという報告があり、また歯周組織の炎症が動脈硬化に関わる可能性も指摘されています。現時点のエビデンスでも、お口の中の慢性的な炎症を放置しないことには意味があると考えられています。
とはいえ「全身の健康のために通ってください」と申し上げても、なかなか足は向かないものです。それよりも「歯を白くしたいから、そのついでに」という動機のほうが、はるかに続きやすい。
結果として定期的に歯周治療とメインテナンスを受けていただけるのであれば、それは歯周病の管理にとって大きな意味があります。見た目のためのホワイトニングが、お口と全身の健康を守る入口になるのなら、これほど良いことはないと思っています。
ご使用にあたって
効果には個人差があります。変色の原因や程度によって、白くなり方は異なります。
人によってはしみることがあります。一時的なもので、使用をやめれば治まります。この方法は間隔を空けて使いますので、連続して使う方法に比べるとしみにくい傾向がありますが、気になる場合はご相談ください。
詰め物や被せ物は白くなりません。天然の歯だけが白くなるため、人工物との色の差が目立ってくる場合があります。前歯に詰め物のある方は、事前にご相談ください。
白くなった色は、時間とともに少しずつ戻ります。定期的に続けていただくことが、きれいな状態を保つ方法です。
なお、無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、過酸化水素にアレルギーのある方にはお使いいただけません。未処置のむし歯がある方、歯ぐきに強い炎症のある方、知覚過敏の強い方、18歳未満の方、矯正治療中の方は、お口の中を確認したうえでご相談させてください。
本メニューは自由診療(保険適用外)です。歯石除去やPMTCなどの歯周治療は、検査の結果に応じて保険診療として行います。
まずは1枚から
歯周治療のついでに、1枚だけ試してみる。そのくらいの気軽さで始めていただける方法です。
ご興味のある方は、ご来院の際にスタッフまでお気軽にお声かけください。
監修:手塚充樹(ヘルシーライフデンタルクリニック 院長・歯科医師/博士(歯学))












